2005年4月20日

子供が腸重積(ちょうじゅうせき)に

 昨日,帰宅すると子供が遅い昼寝から覚めたところだったのですが,妻によると変なお腹の痛がり方をしているとのこと。ちゃんと起きてもらって,様子を見ていたら,15分くらいの間隔でお腹が痛くなるようで,下腹を押さえながら「ぃたい,ぃたい」と言っています。まだ満足に話せないので彼はどこが痛いかを伝えることができません。
 外見では変わったところがないのですが,本当に痛そう(大人で云うところの刺し込むような痛みなんだろう)なのと,定期的な痛みの間隔がだんだんと短くなってくるので,ただの痛みとは違うようなので病院に行ったほうがいいと判断し,妻が近所の「みわ小児科」に子供を連れて行きました。
 しばらくして妻から連絡があり,「腸ジュウなんとか」の疑いがあるから直ぐに救急病院に受診した方がいいという診断になり,六甲アイランド病院に紹介状を書いてもらったとのこと。急いで用意して出発しました。
 子供のほうは,みわ小児科で浣腸してもらった後はとりあえず痛みはないようでケロッとしているので助かりました。音から思うとみわ先生の的確な判断と迅速な処置があったお陰で息子が一泊の入院で済むことになったと思います。感謝。

 六甲アイランド病院に着いて早速受診すると,腸重積(ちょうじゅうせき)の説明と,必要な処置,それに伴う危険性についての説明を丁寧にしていただきました。患者に対して十分に説明を行い,双方で納得する「インフォームドコンセント」をきちんと実施し,文書で確認するという流れができているのは感心しました。時代は変わってきてますね。
 担当の先生曰く,「みわ先生があると言われているのであれば,まず間違いないでしょう。」ということで,みわ先生信頼高いです。後で聞いた話ですが,みわ先生は超音波で異常を発見するのが非常にうまいとのことでした。経験が浅い医師であれば多分見逃しているであろう異常も的確に見つけられるということで,六甲アイランド病院の医師の間では有名なようです。

 腸重積は,何らかの原因で腸が腸に入り込んでしまう(飲み込んでしまう)病気とのこと。腸に腸が被さっている状態になっているため腸閉塞となり,加えてうっ血が起こり時間が経てば組織の壊疽が発生するということです。
 治療の方法としては,バリウムを肛門から注入し,圧力で押し戻す「高圧浣腸(点滴のようにして重力による圧を掛ける)」をまず実施する,それで駄目な場合は開腹手術になるとのことです。いきなり大事で面食らいます。さらに時間が経つにつれて,組織の壊疽が進むため腸が高圧浣腸に耐えられなくなる,もし腸が圧力に耐えられず破れてしまったら手術になり,小児外科の手術ができる病院に転送が必要になります。
 処置を受けるにしても腸の破裂の可能性があるのですが,時間が経てばそれだけリスクが高まりますので,早くに処置を受けるに越したことはありません。幸いにも発見と受診が早かったので,子供も元気で,痛みも収まっているようなのでこちらが焦らずに対応できたのが良かった(助かったというべきか)。
 もし,血便などで症状に気が付き,発症から24時間が経過していれば開腹による手術が必要になるとのことです。

 以上の説明を受けてまず腹部超音波で現状を調べてみます。見事に腸が腸を飲み込んで二重丸になっている映像が出てきました。「腸重積にまず間違いないでしょう。」ということで,次の処置に進みます。

 処置衣への着替えをし,点滴を左手の甲にして処置を待ちます。子供もシンドイのか,病院が好きなのか,大人しくご機嫌にしているので助かります。うちの子は注射も痛がらないし,病院に行くと借りてきた猫みたいに大人しい子になるので不思議です。

息子の腸重積の治療中。レントゲン下でバリウムを使った高圧浣腸を行い,入り込んだ腸を押し戻す処置。3回行って元に戻らず,しばらく時間を置いてからの4回目で成功。嬉しかった。 レントゲン室に入り,催眠薬を点滴ルートに入れ,いよいよ処置の開始です。子供をレントゲン台に乗せたときの脱力した姿が目に焼きついてます。親は外で待つことになり,うまく行くことを祈るのみです。
 随分と時間が経って,ようやく処置が終わったのですが,3回試しても元に戻らなかったということです。うわぁ開腹か...,と落胆していたら,30分ほど置いて再度やってみるとのことです。
 レントゲン写真を見ながら説明を受けたところでは,腸重積が発生しているところは,小腸と大腸の境界部分でした。バリウムが大腸一杯に注入され,太くなっているのですがその先に進んでいません。排出されたバリウムには僅かに出血が認められるとのこと。まだ子供が元気なのであと1回試してみましょう,もしそれで駄目ならば小児外科の病院に転送し開腹手術になるけれど,全身麻酔で腸が弛緩すれば,それで腸の貫入が外れる場合もあるとのこと。
 子供はとてもいい子で処置を受けていたそうです。偉い。

 2歳にもならない子が開腹手術しなければいけないなんて,今日の夕方まで,六甲アイランド病院に受診するまで考えもしませんでした。戸惑います。しかし,処置をしなければ彼は確実に危険になります。

 子供を抱きかかえて次の処置を待ちますが,子供はオモチャのオートバイで遊んで泣きもせず過ごしてくれます。やはり開腹せずに済んで欲しいと祈らずにはいられません。

 4回目の処置の開始。催眠剤は即効で効いて子供は寝付き,再びレントゲン台に寝かし,部屋を後にします。レントゲン室の中での物音が気になります。「もう一回」という声が聞こえ,失敗か?と思ったのですが,しばらくしてドアが開いて入ってくださいと。
 もう気が付いている子供がこっちを見て,先生が「通りました」と言われ,やったー!!嬉しい。子供は腸が通ってウンチ混じりのバリウムに漬かってました。よく頑張った,偉いよ君は。

 救急の処置室で入院を待っている間に子供は胸の上でスースー寝息をたてて寝てしまいました。流石に疲れただろう。一大事だったねぇ,本当に。

腸重積の治療が終わってぐっすり寝ている息子。ようやく一安心。 小児病棟に移って,すやすやと眠る子供は心なしかちょっとやつれてみたい。一旦家に帰って着替えやナンや持って来るともう2時前になってました。大変な一日だったなぁ。
 退院までは予断を許しませんが,とりあえず一安心。ただ,腸重積は原因がはっきりしないし,小さい子供は腸の位置が安定してないのでなにかの条件があえば重積が発生するらしい。予防というのも特にできないようなので,なりやすい体質なのかもしれないので今後は気をつけてあげないと。
 もう少し大きくなったら特定の原因がなければ発生しないそうです。

 あぁ,無事済んで良かったぁ。

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